むかしからあった(?)「新しい」病気

人の健康・病気・医学は、現在も、そしてこれからも、まだまだ不明なことが多く日々進歩しています。
これまで気づかれなかった病気やその原因は、患者さんと医師の努力によって次々と明らかにされ、「新しい」病気として広く啓蒙され、多くの患者さんの福音となっていきます。

比較的最近分かってきた「新しい」病気について、いくつか紹介します。

(1)咳喘息

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「喘息」ときくとどのような症状をイメージしますか?ヒューヒュー・ゼーゼーと苦しそうな呼吸をしている様子が思い浮かぶのではないでしょうか?呼吸は苦しくないけど咳だけが長引いている人は「咳喘息」かもしれません。咳喘息は「気管支喘息」のそれとよく似た特徴を有します。夜間~早朝に悪くなる、季節の変わり目に悪化する、などです。気管支喘息の治療薬であるステロイド吸入薬が咳喘息の治療に有効です。長々と咳止めを処方されている方はこの病気の可能性があります。

(2)むずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群)

この病気は夕方~夜、安静時に脚のむずむずする不快感が生じ、動かさないと落ち着かないため、不眠の原因になる病気です。その診断基準は下記の通りです。
1. 脚を動かしたいという強い欲求が不快な下肢の異常感覚に伴って、あるいは異常感覚が原因となって起こる
2.その異常感覚が、安静にして、静かに横になったり座ったりしている状態で始まる、あるいは増悪する
3.その異常感覚は運動によって改善する
4.その異常感覚が、日中より夕方・夜間に増強する
この病気には特効薬があり、従来は神経難病であるパーキンソン病治療薬として使用されているものです。
むずむず脚症候群に限らず、医学の進歩により従来の治療薬が全く別の病気のお薬になることも増えています。あなたやご家族の困っているその症状、新しい病気かもしれませんね。僕たち医師にはそのようなことを丁寧に拾い上げていく責任があると感じています。