高血圧のほとんどが原因不明の「本態性高血圧」であることが多いですが、中には原因があり、その原因を治療すれば完治する病気であることがあります。
特に、若い方や、50才を過ぎて発症した高血圧には、何らかの原因があることが多いです。したがって、高血圧の原因を調べすにお薬がすぐ始まるということはなく、まず原因を探るべきです。
1 原発性アルドステロン症
この病気は、腎臓のそばの副腎という臓器に、アルドステロンという血圧を上げるストレスホルモンをたくさん作る良性腫瘍により発症します。その特徴として、血液中のカリウムが低いことが挙げられますが、正常値の方もいます。
この病気かどうかは、横になって安静にしたあとの採血が必要です。座って採血すると血中のストレスホルモンが上がってしまうからです。
2 大動脈縮窄症
この病気の頻度は低いですが、最初に疑われないと一生見逃される病気です。大動脈は腕へ血管を分岐し、その後足へとつながります。腕への血管の分岐以降に先天的な「縮窄」が存在すると、腕の血圧は高く、足の血圧は低い、といった結果になります。若い方の高血圧診断には、手足の血圧を同時に測ることが大事です。
3 腎血管性高血圧
動脈硬化は腎臓につながる腎動脈にもおきます。高血圧患者さんの何%かは、腎動脈が狭窄していることが原因である場合があり、適切に診断され腎動脈を広げる治療により高血圧の薬を飲む必要がなくなる場合もあります。
しんとこ駅前クリニックでは、超音波検査で腎動脈の狭窄を見つけることができます。
4 薬剤誘発性高血圧
高齢者の原因の明らかな高血圧ではこの薬剤による高血圧が一番多いと思われます。
その中でも多いのが、整形外科などで処方される痛み止めです。
一般に、漢方薬は副作用がない、と信じられていることがありますがそんなことはありません。「甘草」を含む漢方薬は、ストレスホルモンであるアルドステロンの分解を抑制し、「偽性アルドステロン症」を引き起こし、血圧が上がり、血中のカリウムが低下します。