持病があるけどワクチンを打った方がいいの?

基礎疾患があると優先接種の対象なのに、基礎疾患があると「ワクチン接種要注意者」に。。。持病がある私はワクチンを打った方がいいの?それとも打たない方がいいの?

 新型コロナワクチンに関する厚労省からの通知として、高齢者または基礎疾患を有する方は優先的に接種できる、とされていることは皆さんご承知のことと思います。また、ワクチンを受けるのに注意が必要な人の中に、心臓、腎臓、肝臓、血液疾患などの基礎疾患を有する方、と記載があります。インフルエンザワクチンなど、その他のワクチンにも同様な注意がなされ、これらを「接種要注意者」といいますが、このような記述では基礎疾患を持つ方はワクチンを打つべきなのか否か、迷いますよね。実はこれらの基礎疾患を持つ方に、ワクチンの副反応が多い、という調査結果はありません。それではなぜ、「要注意」なのでしょうか?疾患をもつ方はそうでない方に比べ、日々、症状や健康状態が変わりやすい、不安定である、ということがその理由なのです。これらの疾患による病状が不安定だと、ワクチンの副反応なのか、持病の症状の変化なのか、どっちなのか分からないため、そういった状況では接種を控え、安定するまで待った方がいいだろう、ということなのです。「現在発熱している、急性疾患に罹患している」方が接種不適当者とされているのも同様の理由です。以上は免疫機能に異常がない方を前提として書きましたが、一方、免疫異常がある場合の考え方はまったく異なります。免疫不全、あるいは免疫抑制薬を使用しているという場合、生ワクチン(麻疹、BCGなど)の接種により、健康な人では発症しないはずの病気(麻疹や結核)になってしまったり、逆にワクチンの効果が低く、予想される予防効果(抗体価の上昇)が得られなかったりするため、注意が必要なのです。
 かかりつけ患者さんで、「私はどうなの?」と疑問がある方は主治医にご確認ください。「安定」していれば接種をお奨めします。また、抗凝固薬(血液がさらさらになる薬)を服用している方も要注意、とされていますが、筋肉注射のために、血液が止まりづらく筋肉の中に血のかたまり(血腫)を作りやすいため、このような注意喚起がされています。注射の後、しっかり、長めに圧迫しましょう。

アナフィラキシーって何?

 上記のような病状の不安定な方にワクチンを接種すると、基礎疾患の症状(発熱など)が悪化した場合、ワクチンの副反応なのか、そうでないか、判断に迷います。これを「紛れ込み」といいます。一方、「アナフィラキシー」という病状は、比較的、ワクチンを打ったことによるものだろう、と結論しやすいものです。その理由として、①接種後、30分以内にほとんどが発症する。②以下の症状・病状の組み合わせで発症することが多い(じんま疹、口などの粘膜の腫れ、呼吸困難、頻脈、血圧低下)。ただ、メンタルから来る症状であることもよく経験され、現状のようにメディアが副反応の恐れをあおると、そういった人も増えるのでは、と懸念します。