最近はネットの発達で膨大な情報があふれており、いったい何を信用すればいいか、よく分かりませんよね。
患者さんからご質問いただくのは、食に関することが多く、皆さん真剣に病気にならない食品やサプリを探しています。
しかし、食と健康に関することは意外に多くのことが分かっていない、というのが現状です。分かっていることに関しても、食塩量(多いほど高血圧増加 /死亡率増加)やアルコール(エタノールで5g/日の適量飲酒に比較して60g以上で死亡率1.5倍)など普遍的な食品がほとんどで、他の個別の食材に関しては信頼性の高い研究は少ないのです。
日本における病気になりにくい食習慣―減塩
我々日本人が食習慣の影響を受けやすい病気として高血圧があります。
戦前や戦後間もない頃、東北より北の地方では雪で閉ざされる冬を越すために、食品を塩漬けにして保存し、そのため味覚が塩分多めを好む傾向にあったため、食塩摂取量 が一日15gを越えていたそうです。
そのため高血圧の罹患率がとても高く、脳卒中(中でも脳出血)で多くの人がお亡くなりになったり障害を抱えたりしていました。
グラフは各国の食塩摂取量と脳卒中の死亡率のグラフですが、オーストラリアやヨーロッパの国の食塩摂取量は7-9gととても低く、それにともない病気の死亡率も低いことが分かります。
国立循環器病研究センターがお奨めする「かるしお」商品
一日の食塩摂取量を7gにするのはとても大変なことです。濃い味に慣れている方はなおさらです。
ときおり誤解されますが、塩・味噌・醤油以外のスパイスも味の濃いそうなものは良くない、というわけではありません。
激辛料理についてはわかりませんが、適度な量の香辛料(とうがらし、からし、わさびなど)は全く問題がありません。
減塩を心がけるためには食品の選択が大切になります。
国立循環器病研究センターでは塩分控えめの「かるしお」認定食品を推奨しています(写真)。他の「かるしお認定食品」には以下のものがあります。減塩にお役立て下さい。
銀河フーズ・ハム/ベーコン/ソーセージ、グルメ食品・減塩たらこ、ハナマルキ・みそなど、ヤマヒサ・減塩醤油、シマヤ・塩分カットだし、コーミ・減塩ソース/ケチャップ、カネリョウ・かるしおもずく、博多まるきた・かるしお明太子、キンリューフーズ・かるしおポン酢
減塩でも下がらない高血圧は人により治療の対象になります
それでも血圧が高い方はお薬による治療がされます。
大切なのは「人により」治療の対象になるかならないか、また、血圧の治療目標値が異なるということです。週刊誌にある医師の私見として以下のことが書かれていました。
「血圧を下げすぎてはいけない。血圧の基準は年齢+90が妥当と考える」(OO医師)
現在このような根拠のない考え方に基づいた治療方針は奨められず、多くの臨床試験の結果をまとめた「診療ガイドライン(図)」を参考に、個別の患者さんの血圧をお薬で下げるかどうか、またどのくらい下げるかを考えていくことが推奨されています。