しんとこ駅前クリニックの「高齢者総合診療」

院長綾織が非常勤講師をつとめ、外来・入院患者様を拝見している防衛医大病院ではいろいろな症状をもった方が受診され、その中には意外な病気の結果、起きている症状であることが分かりました。
2年ほど前のしんとこ通信に掲載し好評だったので、再度2つほどご紹介したいと思います。

「漢字が読めない」

83歳の男性が、2~3日前から「新聞の漢字が読めない」という症状で来院されました。「予防」などの平易な字を読むことができず、好きな言葉である「熟慮果断」や、受診先である「防衛医大」が書けなくなっていました。

一方で、他の症状はまったくありませんでしたが、主治医は脳血管障害の可能性を考え、緊急入院となりました。

緊急で脳MRIを行ったところ、最近生じた脳梗塞の所見(写真黄色矢頭の白い部分)が得られ、これのために漢字だけが読めなくなっていることが分かりました。脳梗塞の治療により、漢字が読めないという症状は徐々に改善を認めました。脳梗塞というと、「ろれつが回らない」「半身不随」「ことばが出ない」などが典型的症状ですが、このような症状もあるのですね。我々も大変勉強になりました。

「コレステロールが高い」
54歳女性で、血液中の悪玉(LDL)コレステロール値が高いと紹介されてきた患者さんです。


他院でコレステロール低下薬が処方されていました。顔の表情が乏しく、声がかすれ、話し方はゆっくりで、まぶたは垂れて、足(写真)と顔がむくん でいました。
年齢よりも10歳くらい老けて見え、首の皮膚がかさかさしていました。
コレステロールが高くなる病気に甲状腺の病気があります。
綾織が甲状腺機能を測定したところ、予想通り甲状腺機能低下症でした。

コレステロール低下薬を中止し、甲状腺ホルモンの補充を行ったところ、LDLコレステロール値は正常化したばかりか、むくみやその他の症状もよくなり、患者さんには「今までよりもとっても元気になった」といっていただけました。コレステロールが高いといわれたあなた、病気が隠れているかもしれません。ご相談ください。