過ぎたるは猶及ばざるが如し?

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僕は、外来診療で患者さんの素朴な質問によくつきあう方だと思います(すごく忙しい時はなかなかそうはいきませんが)。
患者さんは「こんなつまらないことを聞いて怒られないかしら」という不安げな顔のことが多いです。
きっと思い切って聞いてみるのでしょうね。
食に関する質問は、そのほとんどが「何を食べればいいか?」「自分はOOをたくさん摂るのがいいと思うがどうか?」ということです。
心の中で「いかに食べないかを考えるのが大事なのですよ~」とつぶやくのですが、そこはいったんぐっとこらえ、こう答えます。「
極端なことはやめてバランスよくいろんなものを摂るようにしましょう」と。
本当に過ぎたるは猶及ばざるが如し、なのでしょうか?
このことわざを科学的に言い換えると「J-shape現象」という言葉になります。
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Jの字のように、ほどほどが病気のなりやすさが最も低く、やり過ぎると逆効果(Jの先っちょのように上がってしまう)ということ。
この現象に当てはまるのが、アルコールです。
少し飲むのは健康に良く、飲み過ぎは悪い。他はどうでしょうか?あまりちゃんと調べられてないのが実情です。
コーヒーにも以前はJ-shape現象があるとされていましたが、最近のアメリカ国立衛生研究所の約40万人を対象にした食生活・健康調査の結果では、コーヒーを飲めば飲むほどと心疾患や脳卒中による死亡が減るとのこと。
患者さんに「過ぎたるは及ばざるがごとし」となぜつい言ってしまうのか、ふと考えてみますと、子供の頃、親にそう言われていたからだと思い当たりました。
この国の子育てに儒教は大きく影響していますね〜 まだよく分からないことには、孔子にならい、そう言っておくのがいいと思いました。