「老年病専門医」ってどんなお医者さん?

高齢者の病気の特徴として、
1 症状や治療に対する反応も若年者とは異なる
2 複数の慢性疾患に投与される薬剤数が増え薬害事象が起こりやすい
3 治らない慢性疾患が多く、生活の質を重視した医療・ケアの優先度がある
といったことが挙げられます。
こういった特徴を十分知り、高齢患者に対して過少でも過剰でもない適切な医療提供を行うことができるのが「老年病専門医」です。
 

 
日本老年医学会が出している、「高齢者に対する適切な医療提供の指針」によると、高齢者医療には以下の7点が大切とされています。
 
1 .「高齢者の多病と多様性」
・高齢者の病態と生活機能、生活環境をすべて把握する。
・かかりつけ医としての役割を意識し、包括的な管理を目指す。
・複数の医療機関から重複した医療提供を受ける可能性が高くベネフィット・リスクバランスを考慮した医療提供を心がける。
 
2 .「生活の質維持・向上を目指したケア」
・生活機能の保持、症状緩和などにより生活の質の維持・向上を目指す。
・機能回復のためのリハビリテーションを早期から行い、日常生活機能の保持をはかる
・高齢者に頻繁に見られる諸症状(認知症、せん妄、うつ、虚弱、廃用症候群、 低栄養、嚥下障害、転倒、尿失禁、便秘、褥瘡、脱水など) 理解する。
・療養環境の整備、メンタルケア、栄養管理や口腔ケアを含めたヘルスケア、 緩和ケア等を行い、症状の緩和と共に生活の質の維持・向上に努める。
 
3 .「生活の場に則した医療提供」
・患者の生活の質の維持に生活の場の問題は重要であり、適切な医療提供の場を選択する。
・医療提供の場を変更する際に生じる問題を理解し、予防に努める。
 
4 .「高齢者に対する薬物療法の基本的な考え方」
・有害事象や服薬管理、優先順位に配慮した薬物療法を理解し、実践する。
・まず非薬物療法を試みる。
・少量から薬物を開始し、薬物に対する反応・薬害を観察しながら少しづつ増やす。
・可能な限り多剤併用は避ける。
・優先度が低い薬剤は中止を考慮する。
 
5 .「患者の意思決定を支援」
・患者本人と家族の価値観を尊重しつつ目標に関して合意形成を行う。
 
6 .「家族などの介護者もケアの対象に」
・家族をはじめとした介護者の負担を理解し、早期に適切な介入を行う。

7 .「患者本人の視点に立ったチーム医療」
・患者もチームの一員であることを理解し、患者本人の視点に立った多職種協働によるチーム医療 を行う。
 

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