いろいろな病気が引き起こす足の痛み・しびれ

いろいろな病気が引き起こす足の痛み・しびれ

足の痛み・しびれは、高齢者ほど多くなる症状です。最初にどの診療科にかかればいいか、迷いますよね。
通常は整形外科を受診することが多いのではないでしょうか?
でも、整形外科はとても多くの患者さんであふれかえっていることが多いので(特にいい整形外科医にところには)、患者さんの訴えたいことを聞いていただける時間が短いことが多いのではないでしょうか?
そういう場合、足の診療に強みのある内科に受診するのも一考です。
以下に、当クリニックで足の症状に対してとても効果のあるお薬を見つけることができ、患者さんに喜んでいただいた事例をいくつか紹介します。

坐骨神経痛

心筋梗塞の病歴があり定期受診されている61歳男性が、「夜、右膝が痛い」と訴え、近くの整形外科でレントゲンを撮られたけど正常で、湿布で良くならない、とのことでした。
話をお聞きすると、「持続時間が数秒程度の走るような痛み」と。
このような痛みは神経痛の特徴なので、「神経の痛みに効く」リリカというお薬を服用してもらったところ、痛みはほぼなくなったとのこと。
今も継続しています。

糖尿病性神経症

糖尿病の44歳男性が、「両足がしびれる」と。
糖尿病の合併症として「糖尿病性神経症」というのがあります。
高血糖が続くと末梢神経が傷むのですが、最も神経が長い足の神経が冒されやすいのです。サインバルタという糖尿病性神経症の治療薬により、症状がかなりよくなりました。

レストレスレッグス症候群(足むずむず症候群)

以前のブログでお伝えしたこの病気、特徴があります。
(1)不快な異常感覚により、足を動かし たいという強い欲求がある
(2)安静にして静かにしていると悪くなる
(3)その異常感覚は運動でよくなる
(4)日中より夕方・夜間に悪くなる
65歳の女性にこれらの特徴が当てはまったので、この病気の特効薬であるビ・シフロールを処方したところ、これまで足の症状で寝付けなかったのが、症状が消失し不眠も解消しました。

有痛性痙攣(こむらがえり)

先月のブログで、不要な利尿薬により血液中のカリウムが低下し、こむら返りが引き起こされる、と触れました。
そういった原因がなくても、有痛性痙攣(こむらがえり)は高齢者ほど多い症状です。
こむらがえりには漢方薬である芍薬甘草湯がとても効果があります。
72歳の女性が夜~明け方のこむらがえりで困っていたので、夜寝る前に芍薬甘草湯を服用してもらったところ、症状が消失しました。
そのうち薬の服用を忘れても症状がたまにしか起きず、症状が出た直後に服用するだけでその後の痛みが軽減するので、今はそのように対処していただいています。

深部静脈血栓症

42才の女性が、「右足のふくらはぎが腫れて痛い」と整形外科に受診したところ、レントゲンなどでは異常がなく、むくみを取る利尿薬が処方されました。
症状が良くならないので当院に来られ、検査したところ、足の超音波検査で「深部静脈血栓症(エコノミークラス症候群)」と分かりました。
話を聞くと、症状のでる前日に長距離バスに乗ったとのこと。女性なのでトイレを我慢>水分摂取を我慢したりして、足の血液がよどみやすったのでしょうね。
利尿薬の服用で多尿になると血液が濃くなるので、これは全く逆効果の治療ですね。
リクシアナという深部静脈血栓症治療薬を服薬していただいたところ、痛みと腫れはおさまりました。

足の症状にはいろいろな病気が隠れているのですね。