防衛医大病院抗加齢血管内科で診断された意外な病気とは?

院長綾織が非常勤講師をつとめ、外来・入院患者様を拝見している防衛医大病院ではいろいろな症状をもった方が受診され、その中には意外な病気の結果、起きている症状であることが分かりました。
いくつか紹介したいと思います。 

 

1「首をうごかすと痛い」

80歳の女性が、2〜3日前から「首をうごかすととてもいたくて寝たきりになっている」「ベッドから首を上げられない」という訴えで来院されました。血液検査では炎症反応が確認され、すこしお熱もあったので、髄膜炎などが疑われましたが、そういった所見にも乏しく否定されました。
しばらく診断不明のまま、症状を抑える治療をしていましたが、研修医の先生が教科書からある病気を探し出しました。
Crown-dense症候群というのは、頚椎のまわりにカルシウムが結晶化して沈着し、痛風のような炎症を引き起こすために首に痛みが生じる「偽痛風」です。写真にように頚椎のCT写真で診断できます。
 

 

2「いつも読める漢字が読めなくなった」

83歳男性です。現役時代には大手百貨店に勤め海外勤務経験があるなど、インテリジェンスの高い方です。
起床後、朝食を終え新聞を読もうとしたところ、いつもと比べ内容の理解に時間がかかることに気がつきました。翌日になっても改善しないため、来院されました。
「予防」などの簡単な漢字を読むことができず、患者様の好きな言葉である「熟慮果断」が書けなくなるなどの症状がありました。一方で、ひらがな、カタカナ、英語は問題なく理解できました。
担当医は脳梗塞を疑い、緊急入院のうえ諸検査を行いました。
MRI検査を行ったところ、写真のように新しい脳梗塞がみつかりました。手足の麻痺やろれつ異常などの症状は全くなく、漢字だけが読めないという脳梗塞もあるのですね。
 


漢字を読めない「失読」

漢字を書けない「失書」

 
担当医は脳梗塞を疑い、緊急入院のうえ諸検査を行いました。
MRI検査を行ったところ、写真のように新しい脳梗塞がみつかりました。手足の麻痺やろれつ異常などの症状は全くなく、漢字だけが読めないという脳梗塞もあるのですね。
 

3「コレステロールが高い」

54歳女性です。血液中のコレステロール値が高いと紹介されてきた患者様です。他の病院でコレステロール低下薬が処方されていました。顔の表情が乏しく、声がかすれ、話し方はゆっくりで、まぶたは垂れて、眼と顔が腫れていました。年齢よりも10歳くらい老けて見えますね。首の皮膚がかさかさしていました。
外来担当医はこういった特徴をとらえ、血液検査を行いました。診断は甲状腺機能低下症で、コレステロール低下薬は中止され、甲状腺ホルモンの補充を行ったところ、LDLコレステロール値は正常化しました。

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